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大阪高等裁判所 昭和57年(ネ)1986号 判決 1984年2月14日

控訴人 日本書籍販売株式会社

右代表者代表取締役 阪口實

右訴訟代理人弁護士 今井徹

被控訴人 コーキ出版販売株式会社

右代表者代表取締役 松尾善髙

<ほか一名>

右両名訴訟代理人弁護士 白井幸男

右訴訟復代理人弁護士 早川光俊

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一申立

一  控訴人

1  原判決中控訴人敗訴部分を取消す。

2  被控訴人コーキ出版販売株式会社(以下「被控訴販売会社」という。)は控訴人に対し金五〇万円を支払え。

3  被控訴人らの請求はいずれも棄却する。

4  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

5  第2項につき仮執行宣言

二  被控訴人ら

主文と同旨の判決

第二主張

一  被控訴人らの請求原因

1  被控訴販売会社

(一) 被控訴販売会社と控訴会社はともに教育図書の販売を主たる業とする会社である。

(二) 被控訴販売会社は控訴会社に対し、学習百科辞典アカデミア(以下「アカデミア」という。)等の学習図書を、昭和五四年一一月一日から昭和五五年三月五日までの間、その代金は毎月一〇日締切り翌月一〇日払いの約定で、合計金一〇三五万七五二五円で売渡したほか、昭和五四年一〇月末現在金一六四万七四三〇円の売掛金債権を有していた。

(三) 控訴会社は被控訴販売会社に対し金一五七万一一一〇円を支払った。

(四) よって、被控訴販売会社は控訴会社に対し、右売掛金残債権金一〇四三万三八四五円からその支払のために控訴会社から振出交付を受けた後記第2項記載の約束手形金五二一万七二一二円を差引いた残金五二一万六六三三円及びこれに対する最終の弁済期の翌日たる昭和五五年四月一一日から支払済みに至るまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

2  被控訴人株式会社コーキ出版(以下「被控訴出版会社」という。)

(一) 被控訴出版会社は原判決末尾添付の約束手形目録記載の約束手形三通(以下「本件手形」という。)を所持している。

(二) 控訴会社は右手形を振出した。

(三) 被控訴出版会社は満期の日に支払場所で支払のため本件手形を呈示した。

(四) よって、被控訴出版会社は控訴会社に対し本件手形金元金合計金五二一万七二一二円及び各手形金に対する各満期の翌日から支払済みに至るまで手形法所定年六分の割合による利息の支払を求める。

二  被控訴人らの請求原因に対する認否

1  第1項のうち、代金の支払期日の約定を否認し、その余の事実は認める。

代金は毎月二〇日締切り翌月末日起算の三か月先を満期とする約束手形により支払うという約定であった。

2  第2項の事実は全て認める。

三  被控訴人らの請求原因に対する抗弁並びに控訴人の請求原因(以下「控訴人の請求原因」という。)

1  控訴会社と被控訴販売会社は、昭和五一年六月、販売委託取引契約(以下「本件契約」という。)を締結した。右契約は控訴会社が被控訴販売会社の委託を受けてアカデミア等の被控訴販売会社の商品(以下「被控訴会社商品」という。)を、他の販売店へ販売することを目的とした期間の定めのない継続的供給契約である。控訴会社と被控訴販売会社は、右契約に基づき取引をなしてきたが、被控訴販売会社は控訴会社に対し昭和五五年三月五日到達の書面で右契約の解約通知をし、それ以降商品の供給を停止した。

2  ところで、本件契約のような継続的供給契約では、供給者である被控訴販売会社が商品の供給を停止し、契約の解約をなすには、販売店である控訴会社に重大な義務違反が必要とされるところ、控訴会社には何ら義務違反は存しない。従って、被控訴販売会社には継続的供給契約の債務不履行並びに不法行為責任がある。

3  損害

(一) アカデミア等の商品の取引停止による逸失利益

控訴会社は、被控訴販売会社から本件契約の解約告知を受け商品の供給を停止された時点で、取引販売店に対しアカデミア等の被控訴会社商品七六セット合計五六六万四〇〇〇円を納品する契約をしていたが、被控訴販売会社の右措置によりその履行をすることができなくなった。従って、控訴会社が直接被った損害は、販売純益金(売上高の一一パーセント)金六二万三〇四〇円と納品不能によるキャンセル補償金(売上高の三五パーセント)金一九八万二四〇〇円の合計金二六〇万五四四〇円となる。

(二) 被控訴会社商品の販売による得べかりし利益

控訴会社の被控訴会社商品取扱高は過去四か月間の平均をとると月額金四八〇万円であり、控訴会社において被控訴会社商品から他社の商品に振替えるのに要する期間は六か月であるから、その間の販売見込額は金二八八〇万円である。従って、控訴会社の被った損害は、販売純益金(売上高の一一パーセント)金三一六万八〇〇〇円と販売店に対する補償金(売上高の一〇パーセント)金二八八万円の合計金六〇四万八〇〇〇円となる。

(三) 取引先販売店の離脱にともなう損害

被控訴会社商品の取扱が不能となったことにより、控訴会社の取引先販売店のうち少なくとも西川雅泰ほか二一店のものが控訴会社から離脱したが、これらのものに対する売上見込額(過去三か月の平均実績から計算した六か月間の売上額)は金二億四〇〇九万円である。従って、売上純利益を一〇パーセントとしても、控訴会社は金二四〇〇万九〇〇〇円の損害を被った。

(四) 信用上の影響にともなう損害

被控訴販売会社との取引停止により、控訴会社の取引先販売店等に控訴会社の信用上の不安を与えることになり、控訴会社の売上が減少した。この期間を三か月として売上高にして金三〇〇〇万円と見込まれるから、売上純利益を一〇パーセントとすると、控訴会社は金三〇〇万円の損害を被った。

(五) 以上損害額の合計は金三五六六万二四四〇円となる。

4  控訴会社は被控訴販売会社に対し、昭和五五年三月一五日到達の書面で、右損害賠償債権をもって、被控訴人らの控訴人に対する被控訴人らの請求原因記載の債権と対当額において相殺する旨の意思表示をした。

ところで、本件手形は被控訴販売会社から被控訴出版会社に裏書譲渡されているが、被控訴販売会社は被控訴出版会社の製品の販売会社として一応形式的には別人格ではあるものの、本店所在地や代表者が同一であり、実質的には両社は同一の人格である。仮に右主張が認められないとしても、被控訴販売会社と被控訴出版会社との右のような関係からして、被控訴出版会社は控訴会社が被控訴販売会社に対して損害賠償債権を有していることを知悉しており、控訴会社を害することを知って本件手形を取得したものである。従って、本件手形金債権が相殺により消滅していることは、被控訴出版会社に対しても主張することができる。

5  よって、控訴会社は被控訴販売会社に対し、前記損害額から右相殺分を差引いた残額金二五二二万八五九五円の内金五〇万円の支払を求める。

四  控訴人の請求原因に対する認否

1  第1項は認める。

2  第2項の事実は否認し、主張は争う。

本件契約は、その実質は単なる売買契約でしかなく、実態としてそれが継続的になされてきたものであるとしても、被控訴販売会社が控訴会社に対し商品を継続的に供給する義務を負うものではないから、その取引停止に債務不履行責任の生ずる余地はない。

3  第3項は否認する。

4  第4項のうち、相殺の意思表示がなされたこと、本件手形が被控訴販売会社から被控訴出版会社に裏書譲渡されていること、被控訴会社両社の本店所在地や代表者が同一であることは認め、その余の事実は否認し、主張は争う。

五  控訴人の請求原因に対する抗弁並びに被控訴人らの主張(以下「被控訴人らの主張」という。)

1  被控訴販売会社の控訴会社に対する本件契約の解約は、次のとおり正当な理由に基づきやむを得ずなされたものである。

(一) 控訴会社代表者阪口實は、昭和五四年一二月一〇日ころ、被控訴販売会社の代理店である日本教育サービス傘下の販売業者システム三進及び総合図書センターに対し、アカデミアの販売について日本教育サービスを上回る手数料を支払う旨述べて契約の横取りを企て、それを実行した。その際、阪口は、日本教育サービスは倒産する旨の虚偽の事実を述べたうえ、アカデミアの競争商品となる国際情報社の販売する百科事典エベレスト(以下「エベレスト」という。)を取扱うよう勧誘した。

(二) また阪口は、昭和五四年末ころ、被控訴販売会社の大阪支社長前田順介に対し、国際情報社に入るよう勧誘したほか、エベレストの販売を促進するための集まりである「エベレスト会」の発起人の一員となり、しかも関西では唯一の発起人であってエベレストの関西方面での販売の総責任者としての役割を担わされた。

(三) 控訴会社による被控訴販売会社ないしはその代理店が倒産する旨の中傷や不正な勧誘が続いたために、昭和五五年一月末ころ、各地の代理店から被控訴販売会社に対し苦情と問合わせが相次いだ。右前田は、同年二月ころ、再三にわたり電話で阪口に対し右事実の有無の確認とその中止を求めたが、阪口は右事実を否認するのみでそれを認めようとしなかった。しかし、その後も各地の代理店からの苦情や問合わせが相次いだことから、右前田は同月一五日控訴会社を訪問し、阪口に対し重ねて中傷行為と不正な勧誘行為を中止するよう強く求めたが、これも拒否された。

(四) 以上のとおり、他の代理店傘下の販売業者がした契約をその代理店から横取りする行為は、他の代理店の営業に重大な支障を及ぼすものであり、被控訴販売会社は自社の全代理店の円滑な営業を守るとの立場からこれを放置できなかった。また、被控訴販売会社ないしはその代理店が倒産する旨の虚偽の事実を述べて、被控訴販売会社の主要商品であるアカデミアの販売を止めさせ、今後は競争会社のエベレストのみを販売するよう被控訴販売会社代理店傘下の販売業者に呼びかける行為は、本件契約存続の基礎となっている両社間の信頼関係を著しく踏みにじるものである。控訴会社の右行為が商道徳に反し許容される自由競争の域を逸脱したものであることは明らかであり、また、被控訴販売会社に直接損害を被らせる行為に該当するから、本件契約の解約は正当である。

2  仮に被控訴販売会社の責任が認められるとしても、控訴会社は本件契約解約に基づく損害賠償請求権を放棄した。すなわち、前記前田は昭和五五年二月一五日控訴会社に対し口頭で本件契約を解約する旨通告し、同日以降控訴会社に対する商品の販売を中止したのであるが、その後控訴会社は二度にわたり、解約通知書が送達されるまでの間の商品の販売を懇請し、その分については全額支払う旨約したものであるから、右解約を正当と認め、解約に基づく損害賠償請求権を放棄したものである。

六  被控訴人らの主張に対する認否

いずれも否認する。

七  被控訴人らの主張に対する控訴人の反論

1  控訴会社と被控訴販売会社は、期間の定めなき継続的供給契約により円満な取引を継続していたが、突如として控訴会社は被控訴販売会社の昭和五五年三月三日付「製品取引契約解除通告書」なる書面によって一方的に契約を破棄された。ところで第一審判決が認定した控訴会社の一一項目に及ぶ背信事由は、右解除通告書に記載された解約理由より、質的にみて比較にならないほど重大かつ深刻なものである。従って、仮に第一審判決が認定するような背信事由が控訴会社に真に存在するとすれば、それを解除通告書に記載しない筈はないのである。それ故解除通告書の記載が単なる例示に過ぎないものであると仮定しても、本件のような場合に質的に全く異なる重要なものを省略することは極めて不自然である。それ故、本件解約の正当性の有無の判断は、右解除通告書に記載された解約理由もしくはそれと同種の事情を対象としてなされるべきである。

2  前記前田が昭和五五年二月一五日控訴会社を訪れた際、同人はマージンを三パーセントアップしてほしい旨述べたに過ぎず、契約を解約するというような言動は存しなかった。

第三証拠《省略》

理由

一  被控訴人らの請求原因第1項の事実のうち、売買代金の支払期日を除くその余の事実については控訴会社と被控訴販売会社間に争いがなく、《証拠省略》を総合すれば、被控訴販売会社の控訴会社に対する売買代金は、毎月二〇日締切り翌月末日起算の三か月先を満期とする約束手形により支払われていたことが認められるから、締切り日の四か月先の日の末日を支払期日と定めたと解するのが相当であり、また、同請求原因第2項の事実は控訴会社と被控訴出版会社間に争いがない。

二  そこで控訴人の請求原因について検討するに、同第1項の事実は当事者間に争いがない。ところで、期間の定めのない継続的売買契約においては、原則として当事者の一方はいつでも右契約を将来に向って解除(解約告知)しうるというべきではあるが、当該契約の種類、性質によっては、当事者は相当程度の人的物的投資をなすとともに、契約の継続を前提として第三者との間に商品の仕入あるいは販売のための契約をなしていることが予想されるから、相当の予告期間を設けた場合は別として、契約を継続し難い重大な事由が存しない限り、右契約を一方的に解除し得ないと解するのが相当であり、予告期間を設けず、かつ、契約を継続し難い重大な事由が存しないにもかかわらず一方的に契約を解除した場合には、契約を解除した当事者は右解除により相手方に生じた損害を賠償すべき義務が存するといわなければならない。

これを本件についてみるに、前記のとおり、被控訴販売会社は昭和五五年三月五日到達の書面で本件契約を解除したものであるが、被控訴販売会社が右契約を解除するについて予告期間を定めたことを認めるに足りる証拠はないから、契約を継続し難い重大な事由が存しない限り右解除は違法と解すべきてあるので右事由の有無について検討する。《証拠省略》を総合すると次の事実が認められる。

1  日本教育サービスは、控訴会社と同様教育図書の委託販売を業とする会社であって、月商一億円のうち被控訴会社商品が約四割を占めていたが、その重要な取引先である販売店のシステム三進(三重県松坂市所在)及び総合図書センター(同県桑名市所在)に対し、控訴会社が「日本教育サービスは倒産する虞れがある。」旨の虚偽の事実を述べるとともに、日本教育サービスより高い手数料を支払う旨述べて控訴会社との取引を勧誘し、システム三進とは昭和五四年一二月六日、総合図書センターとは同月一〇日それぞれ割賦販売業務委託契約を結んだため、日本教育サービスはシステム三進及び総合図書センターとの取引が停止されたほか、同じような経過から、そのころ大阪にある販売店の教育社からも取引を停止された。

2  日本教育サービスは、システム三進及び総合図書センターとの取引停止によって月間千数百万円の売上が減少するため、被控訴販売会社に対し、控訴会社の行為に対する苦情を述べるとともにその対策を迫ったが、他の代理店からも被控訴販売会社に対し、控訴会社のように手数料を引上げて販売店を勧誘されると当該代理店で被控訴会社商品を販売できなくなる旨の苦情が多数寄せられた。

3  そこで、被控訴販売会社大阪支社長前田順介は、昭和五五年二月ころ控訴会社に対し、電話で「日本教育サービスが倒産するというような虚偽の事実を流して営業を妨害したり、日本教育サービス傘下の販売店に行って高い手数料を呈示して取引を勧誘しないでほしい。」旨申入れたが、控訴会社は右事実を認めようとせず、かえって自己の行為の正当性を主張して被控訴販売会社の申入れには応じようとしなかった。

4  ところで、国際情報社が昭和五五年三月ころ発売を予定していたエベレストは被控訴販売会社の主力商品であるアカデミアとは競争商品であるが、控訴会社はエベレストの販売代理店の集りであるエベレスト会の会員となり昭和五四年一〇月ころからエベレストの販売に協力しようと考えており、国際情報社も関西は控訴会社に任せるつもりであって、そのことは業界では一致した見方であったうえ、控訴会社代表者阪口は被控訴会社大阪支社長前田順介に対し国際情報社に入るように勧誘したり、被控訴販売会社の代理店である国文社の福井出張所において、従業員の柴山某や東某に対し、被控訴販売会社が倒産する旨話し、国際情報社の商品を売るよう勧めたりした。

5  被控訴販売会社としては、控訴会社のなした日本教育サービスや被控訴販売会社に対する中傷と高い取引条件の呈示による販売店の勧誘は、エベレストの販売網の整備のための動きであり、右のような行為を放置すれば、被控訴会社商品を取扱っている代理店及び被控訴販売会社らに損害を及ぼすものと考え、昭和五五年二月一五日前田をして控訴会社に赴かせ、日本教育サービス等への中傷や高い取引条件の呈示による販売店の勧誘を止めるよう再度申入れたが、控訴会社は自社の行為は商道徳に反していないとしてこれを断ったため、前田は控訴会社が応じられないであろう手数料の三パーセントアップという条件を呈示することにより婉曲的に本件契約の解除を申入れ、控訴会社が右申入れに応じなかったので、以降商品の発送を停止したが、控訴会社からの要請に基づき解除通告書が送達されるまでの間なお二回にわたり商品の発送をした後、高い手数料の呈示による他の代理店傘下の販売店の勧誘を契約解除原因とする昭和五五年三月三日付解除通告書を送達することにより、以降その取引を停止した。

以上のとおり認めることができ(る。)《証拠判断省略》右の事実によれば、控訴会社の前記行為は自由競争において許される範囲を逸脱したものであり、被控訴販売会社に損害を与えるものであって、本件契約を継続し難い重大な事由にあたるものというべきである。

なお、控訴会社は解除通告書に記載された解除事由は日本教育サービスの販売店への高い手数料の呈示による勧誘のみであるから、右事由が解除事由に該当するか否かのみ判断すべき旨主張するが、解除通告書は契約解除の意思表示を表する書面に過ぎず、必ずしも解除事由全てを記載しなければならないものではないばかりか、解除通告書に記載された事由は被控訴販売会社が本訴において解除事由として主張する事由の一つであり、被控訴販売会社は控訴会社に対し事前に口頭で控訴会社の不当な行動を止めるべく申入れがなされているのであるから、仮令解除通告書に解除事由の全てが記載されていなかったとしても、本訴において全ての解除事由の有無について判断することは何ら問題のないところである。

そうであれば、被控訴販売会社の契約解除は正当であって控訴会社に生じた損害を賠償すべき義務は存しないから、その余の点について判断するまでもなく控訴人の請求は理由がない。

三  そうであれば、被控訴出版会社の請求及び被控訴販売会社の請求のうち金五二一万六六三三円及びこれに対する昭和五五年八月一日から支払済みに至るまで年六分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において正当としてこれを認容し、被控訴販売会社のその余の請求及び控訴会社の請求はいずれも失当としてこれを棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九五条、八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大野千里 裁判官 田坂友男 島田清次郎)

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